抄録
我々は静岡県立静岡がんセンターにおいて, 3年間に頭頸部領域で放射線単独療法あるいは化学放射線療法を受けた患者249例を対象に, 治療中に生じた口腔粘膜炎およびオピオイドの使用頻度について後ろ向きの調査を行った。口腔が照射域に含まれないものをA群 (73例) に, 口腔内照射線量が40Gy未満のものをB群 (66例) に, 口腔内照射線量が40Gy以上のものをC群 (110例) に分類した。Gr.2以上の口腔粘膜炎発生率はA群 (4.1%) B群 (28.8%) C群 (75.5%) であり, 麻薬の使用頻度はA群 (12.3%), B群 (30.3%), C群 (44.5%) と上昇が認められ各群間とオピオイドの使用頻度には有意な相関が認められた (P<0.001)。特にC群については口腔粘膜炎の重症度とオピオイドの使用率に有意な相関 (P<0.001) が認められた。つまり, 口腔内照射量が40Gy以上の頭頸部がん症例には口腔粘膜炎の重症度に応じてオピオイドが使用されていることが判明した。