日本口腔粘膜学会雑誌
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口腔領域の血管腫性病変の臨床統計的検討
辻野 哲弘前田 耕作井上 伸吾中島 英元原田 直田中 浩二杉山 勝石川 武憲
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1997 年 3 巻 1 号 p. 27-32

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抄録
1980年1月より1996年12月までの16年間に, 当科で対処した血管腫性病変を有する患者110例の119病巣について臨床統計的検討をした。臨床的所見のみで92.4%が血管腫と初診時に診断され, 臨床診断は容易であった。発症年齢は, 生下時から79歳までにわたるが, 20歳未満が23%を占め若年者に多い傾向にあり, 男女比は1:1.6と女性に好発していた。部位別では, 舌例が最も多く32.8%で, 次いで頬部21.8%, 下唇19.3%, 上唇11.8%の順に多かった。主訴は腫瘤形成が74.1%で大多数を占めた。90%以上の例で摘出術を主とする治療を行い良好な結果を得た。静脈石は全症例の約10%にみられ, 2cm径大以上の大きな病変例に随伴する率が高かった。病理組織学的には, 78.8%の例が海綿状血管腫であった。
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