日本口腔粘膜学会雑誌
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口腔領域におけるヘルペス感染症での細胞診の検討
ThinPrep を利用した細胞収集法について
寺崎 伸一郎沖永 繁章吉田 憲史小林 忠男亀山 忠光
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1997 年 3 巻 1 号 p. 33-36

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抄録
ヘルペスウイルス感染症における細胞診は, 他の検査方法と比べると簡便かつ迅速な検査方法である。しかし, 口腔領域におけるヘルペスウイルス感染症では, 細胞採取に問題があるのかその正診率は低い。そこで今回まったく新しい細胞収集の原理をもつ, ThinPrep 法 (以下TP法と略す) を用いた細胞診を行なったのでその概要を報告する。対象は, ヘルペスウイルス感染症と診断され, 初診時にウイルス分離陽性であった10例で, その内訳は疱疹性歯肉口内炎6例, 再発ヘルペス3例, 帯状疱疹1例である。結果は疱疹性歯肉口内炎6例中3例, 帯状疱疹1例の計4例に細胞診が陽性, 再発ヘルペスでは全例陰性で, 全体で10例中4例 (40%) の正診率であった。これは以前我々が報告した通常法での細胞診の正診率 (43%) とあまり変わらない結果であった。今回まったく新しい試みであったため, その手技手法に問題があり, 必ずしも良好な結果は得られなかったが, 今後症例を増やし検討を行ないたいと考えている。
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