日本口腔粘膜学会雑誌
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口腔に初発した水疱性類天疱瘡の1例
中村 千春古賀 千尋寺崎 伸一郎亀山 忠光
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2001 年 7 巻 2 号 p. 79-84

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抄録

今回我々は, 瘢痕性類天疱瘡を疑った症例で免疫組織学的検索の結果, 口腔に初発した水疱性類天疱瘡の1例を経験したので報告した。症例は66歳男性で, 口腔内の接触痛を8ヶ月程前より自覚し, 4ヶ月より近医歯科にて加療を受けたが改善は見られなかった。既往としてC型肝炎, 糖尿病を有し, 糖尿病は現在通院加療中である。皮膚や眼には症状は見られなかったが, 口腔内では6+6の唇側歯肉緑, 一部では固着歯肉にも潰瘍を認め, 上顎では口蓋側の歯肉縁に沿って潰瘍を認めた。また, 7部では頬側歯肉から歯槽頂, 口蓋側歯肉に及ぶ潰瘍と同部位相当の頬粘膜にも糜爛を認めた。臨床症状より瘢痕性類天疱瘡を疑い, 生検を行い, 免疫組織学的検索を行った結果, 口腔に初発した水疱性類天疱瘡と診断した。治療は, 当科での口腔内洗浄及び含嗽, 皮膚科でのテトラサイクリンとニコチン酸アミドの内服にてしだいに口腔内症状は改善され, 現在も治療中である。

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