日本手術看護学会誌
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Print ISSN : 1880-4780
研究報告
手術室看護師が医療事故を防止するための気づきと解釈
小池 美香
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キーワード: 手術室, 医療事故, 気づき, 解釈
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2022 年 17 巻 2 号 p. 169-176

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抄録

要旨:本研究は看護師が,医療事故防止に必要な気づきと解釈を明らかにすることを目的とした。大病院(3施設)の手術室に5年以上勤務している看護師6名に半構成的面接法を行い質的統合法(KJ法)で分析した。その結果,手術という極めて侵襲性の高い医療行為の手技中に発生した事例(以下,侵襲性の場面)に対する気づきのシンボルマークは【ふと浮かび上がる危険察知】【違和感がもたらす確認行動】【チームでの危険発生時対応】【チームでの危険防止】【乏しい人的環境による危険発生】【消極的態度により見逃される危険発生】【意思疎通が図れないことによる危険発生】,解釈のシンボルマークは【情報共有からの状況対策】【経験の蓄積からの状況対処】【直観による状況察知】【入念な状況確認】【多角的視点からの状況分析】【タイミングが重要となる状況判断】【チームの連携がもたらす医療安全】であった。手術室のチームや検査技師部門,滅菌,機器保守・物品管理,清掃などバックヤードが絡む事例(以下,バックヤードの場面)に対する気づきのシンボルマークは【「やはり変だ」と危険予知】【指摘による危険察知】【体調管理による危険回避】【適材配置による危険回避】【煩雑な状況下での危険発生】【確認不足による危険発生】,解釈のシンボルマークは【経験からの状況対処】【情報共有からの状況対策】【他部門の状況認知】【入念な状況確認】【過労による危険発生】【チームの連携がもたらす医療安全】【チームの教育,システム作りによる医療安全】であった。したがって「侵襲性の場面」では,直観的な気づきやチームの中で危険に気づき,経験の蓄積,共有による直観的思考と状況を分析し判断する分析的思考を用い解釈していると示唆された。一方,「バックヤードの場面」では,直観的な気づきと,他者からの指摘や体調管理,適材配置という管理的視点から危険に気づき,他部門の状況を理解することから解釈していると示唆された。

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© 2022 日本手術看護学会
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