日本手術看護学会誌
Online ISSN : 2759-7490
Print ISSN : 1880-4780
研究報告
手術室看護師の職務継続を目指した職務満足向上への支援
―中国・四国地区の大学病院を対象とした実態調査より―
加藤 昭尚山下 育子西川 嵩造
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 18 巻 1 号 p. 177-187

詳細
抄録

要旨:[目的]手術室看護師の職務満足の実態と影響する要因を明らかにし,職務満足と職務継続意思との関連を検討する。以上の結果を踏まえて,職務満足を高め職務継続へつながる支援への示唆を得る。

[方法]データ収集は,自記式質問紙を用いて2016年8月~10月に行った。看護師用質問紙は46項目(個人特性13項目,職務満足測定尺度28項目,組織内要因4項目,職務継続意思1項目),看護師長用質問紙は組織内要因8項目のみで構成した。

[結果]看護師用質問紙の有効回答は268部,看護師長用質問紙は9部であった。手術室看護師の職務満足測定尺度合計点の平均点は85.1であった。また,職務満足と職務継続意思は有意な正の相関(r=0.55,p<0.01)があった。重回帰分析の結果,職務満足に影響する要因は,意見の言いやすさ(β=0.56),院内教育満足度(β=0.25),手術室独自のクリニカルラダーを使用している(β=0.14),仕事範囲の明瞭性(β=0.14),手術室経験10~15年(β=0.09),社会的サポート(β=0.09)であった。

[考察]手術室看護師の職務満足は高いと推察される。また,手術室看護師は仕事に大きな意義を見いだし,誇りを感じていた。手術室看護師の職務満足を向上し,職務継続へつなげるためには,意見を言いやすい職場づくりや仕事上の悩みや不安を打ち明けやすい支援体制づくり,クリニカルラダーの活用に加え院内教育満足度を高めるための教育体制の構築が必要である。

著者関連情報
© 2022 日本手術看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top