要旨:[目的]局所麻酔下で行われる2術式,白内障手術施行群(以下,白内障群),硝子体手術施行群(以下,硝子体群)を担当する手術室看護師は,患者の状態を把握し,術中の血圧,脈拍の変動の状態を理解する必要がある。両群における術中血圧および脈拍数に変動があるのかを検討することを目的として調査を行った。また,硝子体手術施行群において各手術操作のうち,どのような操作が術中の血圧および脈拍数に影響を及ぼすのかを調査した。
[方法]2017年3月~2017年10月に眼科局所麻酔下手術を受けた患者のうち,各群直近症例71例を抽出しデータ収集を行い,血圧と脈拍の測定値と変化率を算出し統計解析を行った。硝子体群において術中血圧,脈拍数が最低値,最高値を記録した際の手術操作を集計した。
[結果]血圧と脈拍の測定値において,収縮期血圧と拡張期血圧の最低値で,白内障群と比較して,硝子体群が有意に低下していた。変化率において,硝子体群と白内障群に有意な差は認められなかった。硝子体群において,術中血圧,脈拍数が最低値を記録した際の手術操作は閉創時が最も多く,最高値は入室時,麻酔時,洗眼前後が多かった。
[結論]硝子体群は,白内障群と比較し,術中血圧,脈拍数に統計学的に有意な変動はなかった。収縮期血圧の変化率において最高値と最低値の間に31.3%の変動差があった。