日本口腔顔面痛学会雑誌
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Burning mouth syndrome:最近の研究動向と管理の推奨
大久保 昌和
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2010 年 3 巻 1 号 p. 33-42

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抄録

目的:Burning mouth syndrome(BMS)の病因は不明であり特発性口腔顔面痛に分類されている.本論文の目的はBMSに関する文献検索から,最近の研究動向と提唱されている病因論,そしてエビデンスに基づき推奨されている治療法を読者に伝えることである.
研究の選択:PubMed(米国医学図書館の電子検索システム)を用いてBMSに関連する論文検索を行った.また,抽出された論文リストの中から,過去5年間のレビューを中心に要約を行い,国際学会の意見や重要と考えられる最新の知見もあわせて吟味した.
結果:“Burning mouth syndrome”のキーワードを用いた文献検索では2010年8月までの間に673編の文献が抽出された.病態生理に関する新たな知見に基づく専門家の意見は末梢のみでなく中枢が関与する神経病理学的な原因との考え方が有力である.治療法は緩和療法が主体であり,コクランシステマティックレビューにより管理の推奨がされている.
結論:BMSに対する関心は過去10年間で急速に高まっている.しかしながら,病因が不明であることから診断基準の統一が図られておらず,その自然経過,長期予後に関する結論も出ていない.治療法に関しては非常に限られているのが現状であるが,利用できる証拠に基づく有害でない治療法を選択する必要がある.今後,病因の解明と治療法の確立のためのさらなる研究が必要である.

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© 2010 日本口腔顔面痛学会
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