日本口腔顔面痛学会雑誌
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症例報告
ACイオントフォレーシス,鍼治療および漢方薬を併用した難治性三叉神経痛の一症例
安藤 祐子山崎 陽子新美 知子冨澤 大佑川島 正人嶋田 昌彦
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2010 年 3 巻 1 号 p. 49-54

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抄録

症例の概要:症例は78歳の女性.食事および会話で左頬部に電撃痛が出現するようになった.近医にてカルバマゼピン(CBZ)200mg/日が処方されたが,胃腸障害のため服用を中止した.当科初診日に,ゾニサミド100mg/日を処方したが疼痛は軽減しなかった.翌月,脳梗塞発作で入院.以後約2年6ヵ月間,疼痛は消失していた.再来院時にCBZを100mg/日を処方したところ,疼痛は顕著に軽減した.約2ヵ月後,疼痛は増強し,CBZを200mg/日に増量したところ,ふらつきが顕著に出現した.そこで,ACイオントフォレーシス(AC IOP)を行ったところ,疼痛は軽減した.同日より,CBZに加え,漢方薬(立効散,五苓散)も処方した.約6週間後,疼痛が増強したため,CBZを280mg/日に増量し,さらに鍼治療を併用したところ疼痛は軽減した.約3週間後,疼痛が増強したため,ガンマナイフを行ったが,疼痛は消失しなかった.そこで,AC IOP,鍼治療,CBZおよび漢方薬による治療を継続したところ,約2ヵ月後に疼痛は消失した.
考察:三叉神経痛治療において,CBZの副作用が出現した症例では,治療に難渋することが多い.
今回,CBZ内服に加え,AC IOP,鍼治療および漢方薬の併用により,疼痛管理が可能となった.
結論:治療に難渋する三叉神経痛患者の疼痛管理にAC IOPおよび鍼治療の併用は有用であると考えられた.

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© 2010 日本口腔顔面痛学会
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