日本口腔顔面痛学会雑誌
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神経障害性疼痛の診断
今村 佳樹岡田 明子野間 昇
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2011 年 4 巻 1 号 p. 1_3-11

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抄録

国際疼痛学会は,神経障害性疼痛を「体性感覚神経の傷害または疾患によって惹き起こされる痛み」と定義している.組織障害性の刺激による侵害受容線維の活性化や神経の終末が刺激されなくても活動電位が生じることで痛みが生じうる.国際疼痛学会の神経障害性疼痛分科会は,神経障害性疼痛の診断基準ならびに診断のためのフローチャートを公表している.これに従い,痛みの分布や病歴から神経障害を伴う病変や疾患が疑われるときは,体性感覚検査や血液検査,疾患に見合った検査を行って確定すべきである.マギル疼痛質問票は原因不明の疼痛の性状を引き出す上で有用な方法であろう.罹患部位を明らかにするには,ブラシの刷掃やピンプリックなどの定性感覚検査を用いる.感覚鈍麻,アロディニア,痛覚過敏,ディセステジア(不快な異常感覚)は神経障害に伴って特異的に見られる感覚の変化である.感覚鈍麻は,細いフィラメントや綿花の毛先を用いて調べることができる.アロディニアは,ブラシや綿棒を刷掃することで観察する.痛覚過敏はピンプリックで見られる.歯内療法後の神経障害性疼痛を診断する際に除外すべき病態としては,フェネストレーション,外傷性咬合および咀嚼筋からの関連痛がある.

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© 2011 日本口腔顔面痛学会
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