日本口腔顔面痛学会雑誌
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症例報告
プレガバリンを中心とした薬物療法により疼痛管理が可能になった三叉神経痛の一症例
安藤 祐子山﨑 陽子新美 知子井村 紘子細田 明利川島 正人嶋田 昌彦
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2013 年 6 巻 1 号 p. 19-23

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抄録
症例の概要:56歳,男性.左側上下顎および頬部の疼痛を主訴に当科を訪れた.疼痛は食事や洗顔で誘発し,2∼3分間持続した.MRI所見で左側三叉神経根部に脈管の接触が認められた.以上より,左側三叉神経痛(第II·III枝領域)と診断し,カルバマゼピン200 mg/日を処方したところ,疼痛は軽減した.しかし,処方開始6週間後,肝機能障害が出現し疼痛も増強したため,カルバマゼピンを増量せずガバペンチン400 mg/日を追加したところ,疼痛は軽減し肝機能障害も改善した.処方開始14週間後,ガバペンチンの代わりにプレガバリン150 mg/日および桂枝加朮附湯7.5 g/日を追加したところ,疼痛はさらに軽減した.その後,薬疹のためカルバマゼピンを中止し,プレガバリンと桂枝加朮附湯のみの処方としたところ,薬疹は消失し疼痛の増悪もなかった.約1ヵ月後,桂枝加朮附湯は中止し,以降プレガバリンを600mg/日まで漸増し,疼痛管理が可能になった.その後,疼痛が軽減したためプレガバリンを漸減し,処方開始17ヵ月後には中止し,翌月終診となった.
考察:プレガバリンおよび桂枝加朮附湯は,肝機能障害の発生頻度がカルバマゼピンに比べ非常に少なく,肝機能障害により治療に難渋した三叉神経痛症例に有用であると考えられた.
結論:肝機能障害により治療に難渋した三叉神経痛の疼痛管理に,プレガバリンを中心とした薬物療法は有用であると考えられた.
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© 2013 日本口腔顔面痛学会
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