日本口腔顔面痛学会雑誌
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症例報告
「長崎大学病院オーラルペイン・リエゾン外来」におけるリエゾン診療の一例
岡安 一郎鮎瀬 卓郎和気 裕之
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2013 年 6 巻 1 号 p. 25-29

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抄録

症例の概要:患者は27歳女性(主婦).歯痛と歯の違和感を主訴に,2013年4月,「長崎大学病院オーラルペイン・リエゾン外来」を受診した.診察と検査の結果,口腔異常感症,顎関節症,知覚過敏と診断した.知覚過敏と顎関節症に対しては,それぞれ,保存治療とカウンセリングによる管理開始後,歯痛,筋痛ともに軽減した.しかし,その後,疼痛よりも違和感を強く自覚するようになった.心理社会面を中心とした医療面接と心理テストから,より専門的な精神面での対応が必要と判断して,当院・精神神経科と連携した.そこで,「身体表現性障害」,「うつ病」と診断され,薬物療法(抗うつ薬,抗不安薬)と精神療法が行われた.その後,疼痛,違和感ともに軽減し,当院での管理を終了した.
考察:本症例のように,身体的な自覚症状は存在するが,詳細な診察と検査を行っても,症状を説明する他覚所見が見つからないケースは,心身医学・精神医学的な対応が必要とされる場合が多い.今回,精神神経科と連携して対応することで,短期間で症状を軽減することができた.
結論:歯科医師は口腔医学および心身医学の知識と技術の習得とともに,診療に当たっては,精神科医や心療内科医をはじめとする医師との医療連携が必要である.当院では,2012年3月,「長崎大学病院オーラルペイン・リエゾン外来」の設立以来,歯科と医科との密接な連携を基本方針としたリエゾン診療を行っている.(600)

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© 2013 日本口腔顔面痛学会
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