抄録
人の暮らしで起こる問題解決と,人の暮らしを中心とした興味関心から広がる市民活動が交錯する先に,『作業』がある.その風景は,利他的な想いから生まれるかも知れないし,煩わしさや後ろめたさから立ち起こるかも知れない.全ての人が地続きな 社会 において,異なる存在同士が,既存の枠組みそのものを考え直しつつ,新しい前提を社会自体に構築し,人生の意味を問い直すようなことの中に,クリエイティブさがある.
作業療法の実践は,作業・ものや道具・ひと・スタイルなど,作業療法の意匠とも言える要素で進路を定め,企てとも言える{設計}・対話・共感・こと・コミュニティのつながり要素によって駆動される.さらに,未完成さをデザインに含むことで,作業の周囲に社会の関わりしろが生まれ,これまで携わりのなかった人たちに新たな役割ができたり,人と人の間に新たな空気が生まれたりするかも知れない.作業は,境界を溶かす装置にもなる.