2018 年 12 巻 1 号 p. 20-26
居眠り運転や漫然運転を防止するための運転中の覚醒度や注意度,自動運転からドライバーへ権限委譲する際のドライバーの内的状態の把握を目的として,運転中の心理・生理データの分析が行われている.運転中に道路標識に気づきこれを注視することにより, 標識前後の注視点に変化が生じるという仮説を立てて実験を行った.まず,高精度の眼球運動測定装置を用いて実験をおこない, 標識の通過前後で, 注視中の眼球運動の標準偏差が増加することを示した.次に車載への適用も容易な簡易型眼球運動測定装置について,まずその精度を確認したうえで,同様の実験を行い,同様に標識通過前後に注視中の眼球運動の標準偏差が増加することを確認した.以上の結果から運転中の注意状態の評価法として注視中の眼球運動を用いる方法の可能性を示した.