抄録
居眠り運転や漫然運転を防止するための運転中の覚醒度や注意度,自動運転からドライバーへ権限委譲する際のドライバーの内的状態の把握を目的として,運転中の心理・生理データの分析が行われている.我々は,運転中の注意度を上げる試みとして,フレーム内でLEDを点滅できる雰囲気メガネを用いて,同様の実験を行い標識通過前に雰囲気メガネを動作させ, 注視中の眼球運動の標準偏差が雰囲気メガネによる事前警告により, いっそう増加することを示した.さらに基礎的な心理実験を行い,注視中の眼球運動の標準偏差の増加が注意の増加と対応しているか確認した.これらの結果から雰囲気メガネの動作により,視標の発見率が増加し,応答時間も短縮し,同時に注視中の眼球運動の標準偏差も増加し,本研究の有効性を明らかにした.