薬剤疫学
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活動報告
より良い Pharmacovigilance Plan 策定に向けての提言
小宮山 靖青木 事成古閑 晃久保田 潔
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2015 年 20 巻 2 号 p. 73-83

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抄録

医薬品リスク管理計画(J-RMP)指針通知に述べられている「ICH E2E ガイドラインに示されている安全性検討事項及びそれを踏まえた医薬品安全性監視計画(PVP)」を我が国で真に実装するために必要な規制改革に関し提言を行う.その背景として J-RMP 指針通知が公表されて3年以上経過したが,公表された実際の追加の PVP は従前どおりの使用成績調査等に強く依存している.その根本原因は制度の運用を規定している GPSP 省令および GPSP 省令関連通知である.すなわち① GPSP 省令は J-RMP 指針通知で参照するよう求められている ICH E2E ガイドラインに沿った調査の実施を促すものになっていない.② GVP 省令に包含される J-RMP において,安全性検討事項の課題に答える追加の PVP の方法は GPSP 省令に示された使用成績調査,特定使用成績調査の3種類の調査あるいは試験に限定されるべきと解釈され,運用されている.そこで以下のような提言を行う.
• GPSP 省令は,ICH E2E ガイドラインに記載の「別添―医薬品安全性監視の方法」を参照することを促し,従来の研究方法に限定しない方向で改訂されるべきである.
• 市販直後調査は ICH E2E ガイドラインの別添にも含まれており,適用場面を画期的な新薬が世界同時あるいは日本先行で上市された場合などに限定するべきである.
• 「GVP,GPSP 省令の一部を改正する省令の施行通知」において「(2)総括製造販売責任者の業務及び安全管理責任者の業務」として,イの「製造販売後調査等管理責任者との相互の密接な連携」の項で,「医薬品リスク管理計画書を ICH E2E ガイドラインの医薬品安全性監視計画に関する定めに基づき作成されるよう促すこと」といった規定を含めるべきである.
• 「製造販売後調査等基本計画書」の別紙様式2は,J-RMP 指針通知に準ずるように改正すべきである.
• 「医薬品リスク管理計画の策定について」通知の「1.医薬品リスク管理計画の作成について」に「医療現場にも納得性のある調査デザインの策定に努めること.」との趣旨を加える.
• 外国でも販売される医薬品については,安全性の検討課題の全てに対して,必ずしも日本人での検討が必須でない課題に対しては,世界で協働/分業すること,あるいは非臨床研究で回答を与えることも可能である旨,省令あるいは関連通知において周知させるべきである.

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© 2015 日本薬剤疫学会
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