2017 年 22 巻 1 号 p. 3-7
従来,個々の医薬品について,そのリスクを最小化するためのさまざまな方策がとられてきたが,医薬品リスク管理計画(RMP)制度の実施により,これらが⌈リスク最小化計画⌋として整理・文書化され,公表されるようになったことは意義深い.リスク最小化活動は,患者の安全の確保・向上を目的に行われるものであるが,また一方で,患者,医療従事者,医薬品の製造販売業者・流通業者などに追加の負荷をかけるものでもある.このため,はたして当初の目的が達成されているか,その効果の評価が求められる.その結果に基づいて計画を機動的に見直すことこそが RMP の極意である.リスク最小化策の効果の評価手法として,医療情報データベースを利用した分析,医療従事者や患者へのアンケートやインタビュー調査などが考えられる.さらには,改めて前向きまたは後ろ向きの調査の実施が必要になるケースもあるであろう.多様な状況に普遍的に適用できる方法は存在せず,関係者が知恵を絞り,行動に移していく他に術はない.