体育学研究
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体育用具の原理的考察 : ボールと自我
笹部 チトセ
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1976 年 20 巻 4 号 p. 185-193

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抄録

体育におけるボール〜用具〜は, それぞれひとつにしろ自我のまわりに組織化された身体的経験のなかにくみ込まれており, 「世界一ただなかにーおけるー存在」と考える. したがってボール操作として表出されるもつ, 投げる, 蹴るなどは自由運動の担い手として身振り会話が個人の行為のなかにもち込まれたことによる自我の告知であり, 人間が気を配ることによってそれと何らかの交渉をもつ存在物としての在り方, 「何々のための或るもの」etwas, um zu・・・・・・についての教育であると考える. 故に, ボールをはじいたり, 蹴ったりするために気を配る以前の教育, すなわち人間がポールに対して, 如何にして自由運動の担い手になりうるか, 生物体としての諸器官手, 足が如何にして〔その手〕(その足)になりうるかを, 幼児対象にボールによる〔その手〕・(その足)の技能の質的変化を身振り会話の進展として捉え, これがどのようにして自我の発生, 発達を図るものかをみようとしたものである.

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© 1976 一般社団法人 日本体育学会
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