日本農薬学会誌
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育苗箱施用したクロチアニジン,オリサストロビンおよびフィプロニルの本田田面水,土壌および植物体中の残留量について
加藤 玄俊 小野木 由佳天野 昭子
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2020 年 45 巻 2 号 p. 59-67

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抄録

本研究では,イネ育苗箱に施用した農薬の水田移植後の挙動調査を目的として,水溶解度の異なる3成分(クロチアニジン,オリサストロビン,フィプロニル)について田面水,土壌,植物体における残留実態調査を行った.

田面水では,10月の落水時までにいずれの成分も定量下限(0.1 µg/L,オリサストロビンのみ0.2 µg/L)未満となったが,土壌では移植340日後にあたる翌年春にも全ての成分で残留が確認された.またイネ株間土壌より株元土壌で残留濃度は高く,フィプロニルでは10倍以上の差が認められた.収穫後の植物体では,稲わら,籾殻,および株元から各成分が検出された.本調査から,水溶解度が低く,Log Powが高く,土壌吸着係数が大きい成分ほど水田内に局所的に残留していることが分かった.

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