日本農薬学会誌
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ダイファシノンの毒性試験の概要II
深谷 伸夫山﨑 一郎
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2021 年 46 巻 2 号 p. 67-70

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抄録

1992年に日本農薬学会誌に発表した急性毒性,亜急性毒性,眼刺激性,皮膚刺激性,皮膚感作性,変異原性の試験結果に加えて安全性評価のために各種毒性試験を実施した.皮膚感作性については感作性物質と考えられた.コイに対する急性毒性の96時間LC50は>1.8 mg/Lで,最大無影響濃度も1.8 mg/Lであった.ミジンコに対する急性毒性のEC50は24, 48時間ともに>1.8 mg/Lであり,最大無影響濃度は1.8 mg/Lであった.藻類生長阻害試験のEbC50(72時間)は1.8 mg/L, ErC50(0–72時間)値は>1.5 mg/Lであり,最大無影響濃度は0.76 mg/Lであった.

ニホンウズラにおける単回経口投与試験では死亡したニホンウズラは無く,LD50は>2000 mg/kg,毒性影響も一過性で軽度なものであった.

ダイファシノンは水には非常に溶けにくく,補助溶剤を使用しての飽和濃度1.8 mg/Lが達成可能な最も高い試験濃度であった.その濃度でおこなった試験ではダイファシノンに藻類の生長を抑制する効果があることを示したが,ダイファシノンの水への溶解度は0.3 mg/kg2)であり,この濃度ではコイやミジンコ,そして藻類への影響は出ていない.ニホンウズラへの毒性も低く鳥類への影響は少ないと推測できる.以上によりダイファシノンは生態影響の少ない化合物であると考えられる.

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