日本小児血液学会雑誌
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急性巨核芽球性白血病の1小児例
奥山 利也船曳 哲典関口 晴之梶ケ谷 保彦生田 孝一郎佐々木 秀樹松山 秀介
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1987 年 1 巻 1-2 号 p. 176-180

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抄録
急性巨核芽球性白血病の一例を報告した.患者は, 2歳男児で点状出血斑と軽度の貧血にて入院した.末梢血の白血球数は, 29,300/ μlで芽球48%であった.骨髄血の芽球は74.2%であった.細胞化学的所見では, 芽球の大多数がperoxidase陰性, naphthol AS-D chloroacetate esterase陰性, α-naphthylbutyrate esterase弱陽性, acid phosphatase陽性であった.モノクローナルな血小板糖蛋白IIb/ IIIa complexと第VIII因子は陽性であった.電顕では, 70%以上の芽球が核膜周囲腔と粗面小胞体でPPO陽性であったが, 5日間培養細胞では陰性であった.細胞化学および電顕所見にて急性巨核芽球性白血病の明らかな診断がなされたが・その病態の確立には細胞化学, 免疫学, 電顕によるさらに多くの症例の研究が必要と考えられた.染色体分析は, 48, XY, +19, +20の表現形質を示した.患者は, vincristine, Adriamycin, Prednisolone, cytosine arabinosideの併用療法にて治療され寛解に入った.
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