日本小児血液学会雑誌
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臓器不全を伴うLangerhans cell histiocytosis 11例の臨床的検討
圀府寺 美多和 昭雄原 純一小西 省三郎迫 正廣宮田 曠馬淵 理見須 英雄辻野 儀一
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1996 年 10 巻 3 号 p. 156-160

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抄録
臓器不全を伴う全身型LCHの臨床像, 治療および予後を明らかにするために, 大阪小児がんカンファレンスグループで後方視的に検討を行った.1983年から1994年までの12年間に, 複数の臓器病変, 特に肝, 肺または骨髄に病変を有する例は6施設で11例あり, 診断時の年齢は中央値10カ月 (0.8~14カ月) であった.初期治療は, prednisoloneとvinblastineあるいはetoposideが投与されたが, いずれも寛解には至らなかった.その後の治療には, cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, cytarabine, 6-mercaptopurine, methotrexate, cyclosporin, interferon-α, interleukin-2などが使用されていた.11例中4例が死亡し, 死因は3例が肺浸潤による呼吸不全, 1例が真菌感染であった.3年生存率は61.3%±15.2%で, 生存中の7例は, 原疾患に起因する病変 [繰り返す骨腫瘤病変 (3例), 尿崩症 (2), 白質脳症 (1), 脾腫 (2)] を有しており, 無治療で観察中の例はわずか2例であった.臓器不全を伴う年少児のLCHで, 特に初発時に肺病変を有している例は生命予後不良である.発生頻度の少ない疾患であり, 適切な治療法の確立には多施設での共同研究が望まれる.
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