日本小児血液学会雑誌
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10 巻 , 3 号
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  • 山本 正生, 前田 美穂
    1996 年 10 巻 3 号 p. 145-155
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児の急性白血病の治療成績は多剤併用による寛解導入, 強化, 維持療法の工夫ならびに中枢神経白血病に対する予防療法の普及により, 特に急性リンパ性白血病 (ALL) については著しい進歩がみられるようになった.1970年施行の小児の急性白血病患児の実態調査では, 5年以上の長期生存例者はわずか35例をみるにすぎなかった.現在, 小児のALLに限れば, その約2/3は治癒し得るようになっている.治療成績の向上とともに, 治癒したものに何らかの後遺症がありはしないかという問題が惹起されるようになった.白血病治療に伴う障害として, 発達・成長の障害, 中枢神経の障害, その他視床下部下垂体, 甲状腺, 性腺, 骨, 心臓, 肝臓, 膵臓, 腎臓などの機能障害の発症ならびに社会的問題が認められている。ここでは小児の急性白血病の長期生存例に認められる晩期障害について文献的考察と自験例をとおした若干の見解を述べる.
  • 圀府寺 美, 多和 昭雄, 原 純一, 小西 省三郎, 迫 正廣, 宮田 曠, 馬淵 理, 見須 英雄, 辻野 儀一
    1996 年 10 巻 3 号 p. 156-160
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    臓器不全を伴う全身型LCHの臨床像, 治療および予後を明らかにするために, 大阪小児がんカンファレンスグループで後方視的に検討を行った.1983年から1994年までの12年間に, 複数の臓器病変, 特に肝, 肺または骨髄に病変を有する例は6施設で11例あり, 診断時の年齢は中央値10カ月 (0.8~14カ月) であった.初期治療は, prednisoloneとvinblastineあるいはetoposideが投与されたが, いずれも寛解には至らなかった.その後の治療には, cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, cytarabine, 6-mercaptopurine, methotrexate, cyclosporin, interferon-α, interleukin-2などが使用されていた.11例中4例が死亡し, 死因は3例が肺浸潤による呼吸不全, 1例が真菌感染であった.3年生存率は61.3%±15.2%で, 生存中の7例は, 原疾患に起因する病変 [繰り返す骨腫瘤病変 (3例), 尿崩症 (2), 白質脳症 (1), 脾腫 (2)] を有しており, 無治療で観察中の例はわずか2例であった.臓器不全を伴う年少児のLCHで, 特に初発時に肺病変を有している例は生命予後不良である.発生頻度の少ない疾患であり, 適切な治療法の確立には多施設での共同研究が望まれる.
  • 岡村 純, 田坂 英子
    1996 年 10 巻 3 号 p. 161-168
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    プロトコールAL841, LR90, IR90により193例の標準危険群急性リンパ性白血病 (ALL) を治療した.VLP±daunomycinにより191例が寛解.中等量MTX±BFM型強化療法ののち, 2~3年の維持療法 (修正LSA2-L2型±Asp) を行った.中枢神経系 (CNS) 白血病予防としてはMTX髄注±頭蓋照射を行った.95年8月現在, 30例が再発 (骨髄20例, 髄外9例うちCNS5例, 両者同時1例).AL841, LR90, IR90の4年無病生存率 (EFS) と生存率 (OS) は各々85, 75, 73%および94, 85, 87%.AL841の10年EFSとOSは82, 89%であった.プロトコール別に種々の危険因子がEFSに及ぼす影響を分析したが, 現時点では有意差を示すものはなかった.AL841とLR90では診断時白血球数が5,000~10,000の群のEFSが各々93%, 80%で最も良かった.標準危険群ALLの予後の劇的な改善のためには新たな予後因子の発見が必要と考えられる.
  • 田畑 恭裕, 納谷 真由美, 北條 誠, 小坂 喜太郎, 日比 成美, 東道 伸二郎, 澤田 淳, 今宿 晋作
    1996 年 10 巻 3 号 p. 169-174
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    神経芽腫 (stage IV a) 治療終了10カ月後に急性リンパ性白血病を発症した2歳男児を報告した.白血病細胞の染色体検査では11q23異常 (MLLの再構成陽性) を認めた.患児は神経芽腫の治療に総量2,700mg/m2のVP16を受けていた.化学療法で寛解に達した6カ月後, HLA一致同胞姉より同種骨髄移植を行い15カ月寛解を維持し経過は良好である.本例では神経芽腫治療のために使用したetoposide (VPl6) が二次性白血病の発症の一因である可能性が考えられた.二次性白血病の報告は骨髄性が多く, リンパ性は稀なので, 二次性リンパ性白血病の報告例をまとめ考察した.
  • 工藤 亨, 要藤 裕孝, 長谷山 圭司, 渡部 潤子, 加藤 静恵, 小田 孝憲, 鈴木 信寛, 千葉 峻三
    1996 年 10 巻 3 号 p. 175-178
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性リンパ性白血病の3歳女児が, 寛解導入療法終了後, 抗生剤不応性弛張熱, 腹痛, 肝脾腫脹を呈した.血液・生化学検査では, 好中球増加, CRP強陽性, ALP上昇, CT検査にて肝に多発性膿瘍像を認めた.膿瘍の針生検では診断確定されなかったが, 同時期のカンジダ抗原検査 (CAND-TEC) 陽性, β-D-グルカン, D-アラビニトール値よりカンジダ性肝膿瘍と診断し, AMPH-B, MCZ, FCZによる治療を開始した.治療開始8週後にCAND-TEC, β-D-グルカン値は陰性化し, 11週後に解熱し, 14週後のCT検査で肝膿瘍像は完全に消失し治癒と考えられた.急性リンパ性白血病に合併した深在性真菌症の診断・治療モニターリングにCAND-TEC, β-D-グルカン, D-アラビニトールがきわめて有用であった症例を報告した.
  • 越智 文子, 河崎 裕英, 圀府寺 美, 小林 陽之助
    1996 年 10 巻 3 号 p. 179-183
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    1歳の男児.発熱, 出血性皮疹, 肝脾腫, 汎血球減少を呈し, 皮膚生検でLangerhans cell histiocytosis (LCH) と診断した.Prednisolone, vinblastine, etoposide, cyclophosphamide, cyclosporine, vincristine, 6-mercaptopurineを用いた化学療法を1年施行したが, 抵抗性で症状は改善しなかった.Dexamethasoneの投与で解熱し, CRPも低下したが, 肝脾腫は改善しなかった.病勢の進行が著しいときには, サイトカイン除去目的で血漿交換を行った.症状が悪化したため, 2歳のとき, cytosine-afabinoside, vincristine, prednisolone併用療法を施行した.間もなく肝脾腫は縮小し汎血球減少も著明に改善した.現在3歳7カ月で, 本療法を8週ごとに施行しているが, 軽度の脾腫を認めるのみで, 良好な部分寛解の状態が持続している.
  • 山上 正彦, 市原 強, 大竹 茂樹, 前川 尚三, 小泉 晶一
    1996 年 10 巻 3 号 p. 184-188
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例1は17歳女性.急性リンパ性白血病第二寛解期に全身放射線照射を含む前処置後HLA一致の兄をドナーとして同種骨髄移植を施行.移植後, 急性GVHD IIo, 間質性肺炎を合併.その後, 閉塞性肺疾患によると思われる歩行時呼吸困難がみられ, 移植3年後より気胸を繰り返し3カ月後に死亡した.症例2は14歳男性.急性前骨髄球性白血病第一寛解期に自己末梢血幹細胞移植を行うも再発.ATRAによる再寛解導入後HLA一座不一致叔父より全身リンパ節照射を加えた前処置にて同種骨髄移植を施行した.急性GVHDIIIo, 慢性GVHD, 白血病再発, 肺アスペルギルス症に罹患し, 移植1年半後より気胸と多発性ブラを起こし4カ月後に死亡した.2症例ともに放射線照射を前処置とした同種骨髄移植後にGVHDと肺炎を合併し, その後気胸を併発しており, 移植の前処置としての放射線照射を選択する際には十分に注意する必要があると思われる.
  • 熊崎 寿美, 花田 良二, 菊地 陽, 市川 正孝, 山本 圭子, 相原 敏則, 小川 恵弘
    1996 年 10 巻 3 号 p. 189-193
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児急性リンパ性白血病の発症6年後に脳腫瘍をきたした症例を経験したので報告した.症例は16歳の男性.1988年1月, T細胞性ALLと診断され, 東京小児がんグループ (TCCSG) のALLプロトコール11次案extremely high risk group regimen (Hex) にて10歳のときに寛解に到達した.このとき, 頭蓋照射を24Gy行った.以後良好な経過をとった.1994年7月右片麻痺, 頭痛, 嘔吐を訴えたためCT, MRIを施行.左前頭葉から頭頂葉にかけて辺縁が不鮮明で, 出血を伴った腫瘍性病変を認めた.広範囲であること, 浮腫を伴うこと, 左側であることより保存的治療にて経過をみたが, 入院後約3週間で死亡した.剖検より脳腫瘍はanaplastic astrocytomaと診断した.白血病の頭蓋照射後に発症する2次癌としての脳腫瘍はgliomaが多く, 放射線との関係が示唆された.
  • 佐藤 篤, 今泉 益栄, 斉藤 稔哲, 吉成 みやこ, 鈴木 保志朗, 崔 硯, 飯沼 一宇, 佐藤 貴
    1996 年 10 巻 3 号 p. 194-198
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    抗NA2抗体による同種免疫性好中球減少症の1例を報告する.症例は日齢8の男児で, 先天性心疾患の管理目的にて当科に入院した.父母および2人の姉はいずれも健康である.入院時血液検査にて好中球減少を指摘され, 前額部膿疱を認めたが, 排膿と消毒にて軽快, その他重篤な感染症の合併なく, 無治療で経過観察し, 日齢53以降好中球数の自然増加を認めた.母と患児の血清からいずれも抗NA2抗体が検出され, 好中球数の増加に一致して患児抗体価の減少を認めたため, 同種免疫性好中球減少症と診断した.本症は多くは臍炎や膿疱などの軽微な感染症を主症状とする比較的稀な疾患であるが, 本邦報告例は少ない.このため生後早期の軽症の感染症には, 積極的に血液検査を行い本症を鑑別することが, 治療ばかりでなく, 本邦における同種免疫性好中球減少症の理解のためにも重要と考えられた.
  • 矢崎 信, 飯田 真介, 松林 正, 尾坂 行雄, 大野 敏行, 山田 薫, 安藤 光広, 瀬戸 加大, 和田 義郎
    1996 年 10 巻 3 号 p. 199-204
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    入院時の染色体の検査ではt (6;19) (q21;pl3) のみにみえたが分子生物学的手法により, 11q23がXq13に転座していることがわかった乳児急性単球性白血病を経験した.乳児白血病では染色体の検査で11q23の異常がなくても分子生物学的手法により11q23の転座の有無を調べる必要があると考えられる.この患者はVP-16, CA, DNR, MIT, PSLを含んだ化学療法により生後1カ月から11カ月治療され, その後複合型免疫不全症を発症した.治療終了後1年目のTリンパ球は著明に減少し血清の免疫グロブリンも減少していた.リンパ球の幼若化反応は非常に低く, NK活性も低かった.患者にrIL-2を投与したところ, CD2+CD3+リンパ球が増加し血清免疫グロブリンも増加した.この症例は乳児白血病を治療するときには化学療法によって免疫不全症を起こす可能性があることを考慮する必要があることを示唆している.
  • 神波 信次, 津野 博, 青柳 憲幸, 小池 通夫
    1996 年 10 巻 3 号 p. 205-209
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    風疹, EBV混合感染が原因で生じたと考えられる血球貪食症候群の4歳女児例を報告した.風疹感染後に発熱が続いており当初は風疹後の血球貪食症候群と考えたがウイルス抗体価の推移からEBVも関与する混合感染が原因と判明した.患児には免疫異常など基礎疾患はなく, 風疹, EBVが混合感染となったことが発症の一因と思われた.治療はステロイド療法, γ-glb大量療法を施行したが, 臨床経過, 検査成績からγ-glb大量療法が有効であった.IFN-γ, IL-6, sIL-2Rを経時的に測定したが, γ-glb大量療法前後でIFN-γが45.4U/mlから5.7U/mlと変動を示し, 血球貪食症候群におけるγ-glb大量療法の作用機序を考える上で重要な所見と思われた.
  • 今井 耕輔, 山本 貴子, 伊東 祐之, 吉田 邦枝, 前田 浩利, 梶原 道子, 高木 秀二, 大川 洋二, 平井 莞二, 矢田 純一
    1996 年 10 巻 3 号 p. 210-215
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Wiskott-Aldrich症候群の10カ月の男児に対して父親からT細胞除去法を用いた骨髄移植を行った後, EBウイルス (EBV) に関連したlymphoproliferative disorder (LPD) を発症した例を経験した.発熱・全身の表在リンパ節腫脹・腸管出血がみられ, IgGλ型のM蛋白を認めた.M蛋白は治療後一時消失したが, IgM λ型が後に出現した.リンパ節生検組織像および増殖リンパ球内のEBVの存在よりEBV-associatedLPDと診断した.治療として, gancyclovir (DHPG), antilymphocyte globulin (ALG), antithymocyte globulin (ATG) およびetoposide (VP-16) の投与を試み, それぞれ有効であった.さらに免疫不全状態の改善のために再移植をHLA一致の同胞から行ったが, 救命には至らず敗血症のため死亡した. T細胞除去法やATGを用いた骨髄移植では, EBVの日和見感染によりLPDを発症する頻度が通常の骨髄移植の場合より高い. LPDの治療は困難であり予後不良である.早期に発見・診断し, 免疫抑制療法の減量や免疫賦活療法, 場合によっては抗腫瘍療法が必要である.
  • 高村 まゆみ, 麦島 秀雄, 永田 俊人, 七野 浩之, 島田 俊明, 鈴木 孝, 陳 基明, 原田 研介
    1996 年 10 巻 3 号 p. 216-220
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    1歳男児, 生後3カ月に若年型慢性骨髄性白血病 (JCML) と診断され, 6 mercaptopurineの内服開始にてWBCの減少が一時的にみられたが, その後増加し, 貧血, 血小板減少も著明となり, 感染症と多彩な皮疹の消褪を繰り返した.生後11カ月の骨髄検査で染色体異常 (46, XY, 21q+) もみられるようになったため, 13-cis-RA (160mg/m2/日) の連日経口投与を生後12カ月目より開始した.投与開始時のWBC数は34,300/μlで, 21日目には8,900/μlと減少し, 幼若な顆粒球系細胞が消失し成熟顆粒球細胞の出現がみられ, 単球も1.0%に減少し, 肝脾腫の消褪傾向がみられた.一時的に13-cis-RAの効果がみられたが, 副作用のため投与を中止したところ血液所見および臨床症状は増悪し, その後は反応が得られず大量6 mercaptopurineribosideとcytosine arabinosideの持続点滴投与を行った.WBCの減少と肝脾腫の縮小がみられ, 13-cis-RAの内服も併用したが効果は得られなかった.自験例のように染色体異常がみられたJ-CMLに対しても13-cis-RAは一時的に効果がみられたが, 本剤は同種骨髄移植を前提に早期から投与する薬剤と思われた.
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