抄録
多血症を呈する11歳の男児例について報告した.患児では赤血球数の増加 (RBC>8×106/μl) を認めたが, 脾腫, 汎血球増多, ビタミンB12の高値は認めず, 骨髄幹細胞培養でも正常対照と変わらぬコロニー形成がみられた.血清エリスロポエチン (Epo) 値は高値 (33.2-80.6mU/ml) を示したが, Epoのレベル調節は正常であった.本例は米国のPolycythemia Study Groupの真性多血症の診断基準を満たさず, また心疾患などの2次性多血症の主たる要因となる諸疾患の存在が除外され, 原因不明の2次性多血症と考えられた.6カ月間に計6回の潟血後, 病態は安定している.