日本小児血液学会雑誌
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メチルプレドニゾロン・パルス療法が著効した網状赤血球減少と末梢血中の赤芽球増加を示した自己免疫性溶血性貧血の1乳児例
鹿野 高明
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1997 年 11 巻 3 号 p. 205-209

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抄録

末梢血中の赤芽球増加, 網状赤血球減少を示した自己免疫性溶血性貧血の稀なる症例を報告する.生後9カ月の男児が顔面蒼白, 不機嫌で入院した.末梢血の検査では, 赤血球数168×104/μl, 血色素値4.79/dl, 網状赤血球数15‰ (25,100/μl), 有核赤血球数3/200WBC, 白血球数20,400/μl, 総ビリルビン値2.0mg/dlであった.クームス試験は直接法・間接法ともに陽性で, 抗e抗体を認めた.自己免疫性溶血性貧血と診断し, プレドニゾロン (2mg/kg/日), γ-グロブリン (400mg/kg/日, 5日間) で治療した.しかし末梢血中の赤芽球増加, 網状赤血球減少をともなった溶血が進行した.以上より, 成熟赤血球のみならず網状赤血球まで破壊されていることが考えられた.メチルプレドニゾロン・パルス療法で劇的に溶血の改善をみ, 末梢血中の赤芽球は減少し, 網状赤血球は増加した.発症より2年現在, 再発を認めていない.

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