抄録
4歳で発症した骨肉腫の男児例を経験した.病初期に手術療法とRosen-T12プロトコールに従い治療開始したが, 一年後肺転移をきたし通常量の化学治療では無効と判断した.そこで骨髄移植を併用した超大量化学療法を開始したところ腫瘍縮小傾向を認めた.その後も肺転移・脳転移をきたしたため, 計2回の開胸手術, 4回の開頭手術, および30Gyの放射線照射とともに, 自家骨髄移植を併用した超大量化学療法を計8回施行し, 寛解状態に導くことができ, 一年半の無病期間を得ることができた.残念ながら顎骨再発をきたし, 不幸の転帰をとったが, 今後このような難治性腫瘍に自家幹細胞移植をうまく導入することにより, 寛解導入率の向上が期待できると考えられた.