日本小児血液学会雑誌
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化学療法後に発症した肺アスペルギローマにitraconazoleとamphotericin Bの併用が有効であった1例
松原 央吉河 道人伊藤 仁也後藤 晶子東 寛奥野 晃正
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1998 年 12 巻 2 号 p. 110-114

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抄録
症例は急性リンパ性白血病の8歳男児.完全寛解導入後, 維持療法中に中枢神経再発をきたした.末.梢血幹細胞採取目的の化学療法後に顆粒球減少を呈し, 胸痛と呼吸困難を訴え, 発熱と血痰の喀出を認めた.CRPと血清中β-D-glucanが高値で, 胸部断層撮影にて右上葉に菌球陰影を認めた.肺アスペルギローマと診断し, itraconazole (ITCZ) 6 mg/kg/dayの内服とamphotericin Bの持続静注を施行した.治療開始3カ月後, 菌球は画像上ほぼ消失した.5カ月後には自家造血幹細胞移植を施行できた.治療期間中のITCZの血中濃度は250-1,100 ng/mlでAspergillusのMICを上回っていた.ITCZの1日1回投与は肺アスペルギローマの治療に有効かつ安全な投与量と思われた.小児においてもアスペルギルス症が疑われる場合ITCZを投与することが望ましい.
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