日本小児血液学会雑誌
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同種骨髄移植後にタクロリムス (FK506) による脳症を発症した1例
井口 晶裕渡辺 直樹吉田 真有岡 秀樹小林 良二石川 順一
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1998 年 12 巻 2 号 p. 115-119

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抄録
同種骨髄移植後にtacrolimus (FK506) による脳症を発症した若年性慢性骨髄性白血病 (JCML) の4歳の男児例を報告する.TBI+VP-16+CYの前処置でドナーバンクの非血縁者から同種骨髄移植を施行した.移植細胞数は4.3×108/kgでGVHD予防はCsA+short term MTXで行った.Day 40頃からGrade IIIの急性GVHDを発症し, 同時に原因不明の意識障害を認めたが, 意識障害は対症療法で改善した.しかし急性GVHDはprednisolone投与開始後も改善を認めなかったため, day 53からCsAをFK 506に変更し, methylprednisoloneのパルス療法を併用した.FK506開始後徐々に意識状態が悪化し, 頭部MRIのT2強調画像で白質・灰白質に高信号域が散在性に認められるようになった.Day 93に急激な利尿の低下とともに痙攣発作を起こし, 意識状態は急激に悪化した.FK506による腎, 中枢神経障害を考え, FK 506を中止しCsAに戻したところ, MRI上の病変は消失し, 意識状態も移植前の状態に復した.FK 506の中止にともない, 明らかに臨床症状, 画像所見が改善したことから, 原因はFK506によると思われた.FK506の使用にあたっては, 腎障害のみならず中枢神経障害についても注意が必要である.
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