日本小児血液学会雑誌
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全身性エリテマトーデス経過中に併発した急性骨髄性白血病
畑江 芳郎中野 育子飯塚 進武田 武夫
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1998 年 12 巻 6 号 p. 429-433

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抄録
全身性エリテマトーデス (SLE) の21歳の女性に併発した急性骨髄性白血病 (AML) の報告である.患者はSLEの治療としてコルチコステロイドおよびアザチオプリンなどの投与を受けていた.治療開始約11年してAMLを発症した.抗白血病剤による強力な寛解導入療法を行ったが, 完全寛解を得ることができなかった.剖検では骨髄はもとより肝, 脾, 腎, 大腸およびリンパ節などほとんどすべての臓器に白血病細胞の浸潤が著明であった.自己免疫性疾患にリンパ系増殖性疾患の合併はいわれているが, SLEの治療経過中にみられるAMLの併発は稀と思われる.本例においてはAML発症の原因はあるいは偶然の一致かもしれないし他の要因によるのかもしれないが, 免疫抑制剤であるアザチオプリンの投与による可能性も否定できない.SLEの治療にさいしてこのような薬剤選択に当たっては慎重であらねばならない.
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