日本小児血液学会雑誌
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骨髄球系表面抗原陰性のAMLの1例
林 英蔚浜畑 啓悟渡邊 健一郎宇佐美 郁哉秋山 祐一久保田 優
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1998 年 12 巻 6 号 p. 434-438

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抄録
骨髄球系抗原陰性の急性骨髄性白血病 (AML) の1例を経験したので報告する.French-American-British (FAB) 分類では光顕的にperoxidase (POX) 染色陽性をもってAMLとし, 一般にPOX陽性芽球は骨髄球系表面抗原が陽性である.本症例の芽球は骨髄有核細胞の88.2%を占め, その15%が光顕的にも電顕的にもPOX陽性でflow cytometryでもmyeloperoxidase陽性であった.細胞表面抗原解析では芽球はCD10, 19, 20, Sm-IgM, Sm-λ, TdTのみが陽性で骨髄球系抗原CD13, 33などは陰性であった.骨髄染色体分析では20細胞中9個にt (1;19) (q31;p13) を認めた.また, Ig (H) JH, Cμ, Ig (L) CLに遺伝子再構成を認めた.以上より本例はPOX陽性のみが骨髄球系の特徴であり, その他はリンパ球系の特徴をもつ稀な急性白血病であると考えられた.これまでに同様の症例報告は成人例の5例のみであり小児での報告は本例が初めてである.
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