日本小児血液学会雑誌
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Ph1陽性急性リンパ性白血病の骨髄移植における多分割高線量の全身照射の試み
菊地 陽海老原 康博三井 哲夫梅本 有美植田 高弘吉野 浩石井 武文江口 直宏久川 浩章谷ヶ崎 博真部 淳辻 浩一郎中畑 龍俊
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1998 年 12 巻 6 号 p. 452-456

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抄録
Ph1陽性小児急性リンパ性白血病の2症例において, 多分割高線量の全身放射線照射 (13.5 Gy, 9分割) を含む前処置を用いた同種骨髄移植を施行した.移植病期は症例1が血液学的再発期, 症例2がPCRレベルでの再発期であり, ドナーは症例1が非血縁者, 症例2がHLA部分不一致の母親であった.前処置に伴う合併症は許容範囲であった.血液学的回復は順調で, 症例1ではday 14, 症例2ではday 12に生着を確認し, 骨髄のBCR/ABLのメッセージは症例1ではday 89, 症例2ではday 19に消失し, 以後, 再出現することはなかった.GvHD予防は短期MTX+Cy-A持続投与にて行ったが, 症例1ではIV度, 症例2ではIII度のGVHDがみられ, また2例ともアデノウィルス11型による出血性膀胱炎を発症した.症例1は間質性肺炎のためday 442で死亡したが, 症例2はday 231現在無病生存中である.この前処置はPh1 ALLに対する骨髄移植において試みる価値のある治療であると思われた.
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