日本小児血液学会雑誌
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再生不良性貧血の治療方法の評価とin vitro培養所見
伊藤 尹敦岡野 周子服部 拓哉石川 順一中村 こずえ
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1999 年 13 巻 2 号 p. 79-85

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抄録
骨髄移植の受けられない重症再不貧患者9例に種々の治療を試み, 3年生存率100%, 5年生存率87.5%であった.ALGとmPSL大量の併用療法に有効率が高かった.G-CSFの長期投与療法3例に3血球系統の改善がみられ, 2例に投与量に応じた好中球, 血小板の増減がみられた.Lymphocytapheresisを施行した患児は無治療で寛解を保っている.未治療時骨髄CFU-Cが保たれていた例, 治療後早期にCFU-Cの回復する例は予後良好であった.抑制Tリンパ球の存在した3例にALGが奏効した.長期骨髄培養ではCFU-C産生が8週まで維持された2例は予後良好であった.ALGは重症再不貧患児に効果的であったが, γグロブリン大量療法, G-CSFにも効果例があった.Lymphocytapheresisは有効な治療法のひとつとも思われる.骨髄CFU-Cと長期骨髄培養は治療選択の1指標となりうる可能性が示唆された.9症例中8例が生存しており, 患者に対応した治療法の工夫により治療成績が向上すると思われた.
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