日本小児血液学会雑誌
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白血球におけるアラキドン酸代謝の制御とその意義
浜崎 雄平在津 正文
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1999 年 13 巻 5 号 p. 325-334

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抄録

アラキドン酸代謝産物であるロイコトリエン (LT), プロスタグランディン (PG), トロンボキサン (TX) は, 細胞内部の核膜上で, 数種類の酵素の連続的な反応の結果合成される.最近10年間にこれらの合成酵素 (細胞質フォスフォリパーゼA2, プロスタグランディンH合成酵素タイプ1および2, 5一リポキシゲナーJビ, ロイコトリエンC4合成酵素, ロイコトリエンA4ヒドロラーゼなど) は大部分がクローニングされ, その生化学的な特徴や, 活性化の機構が明らかになってきた.これらの合成酵素の活性化の機構のひとつとして, 生体内外の活性化因子による遺伝子の転写や翻訳のレベルでの制御機構の存在が明らかとなってきている.これらの制御機構は炎症性疾患をはじめとする各種小児疾患の病態の発現に関与していることが推測される.この遺伝子レベルでの制御の機構は, 多核白血球においても存在する.本稿では, 最初にアラキドン酸代謝系の合成酵素について, 種々の細胞から得られた最近の一般的知見を総括し, そのあとで, 多核白血球における遺伝子レベルでの制御の機構について, みずからの知見を含めて述べる.

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