日本小児血液学会雑誌
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小児急性リンパ性白血病患者の初発年齢による臨床的特徴 : 小児癌白血病研究グループ登録1,442例の研究
鶴沢 正仁片野 直之小泉 晶一三間屋 純一谷田部 道夫松下 竹次渡辺 新浅見 恵子上玉利 彰畑江 芳郎菊田 敦伊地知 修三宅 宗典西川 健一岩井 朝幸河野 嘉文麦島 秀雄大田 茂百名 伸之金子 安比古藤本 孟男
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1999 年 13 巻 5 号 p. 335-341

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抄録

1981年から1998年の間に小児癌白血病研究グループの治療研究に登録された15歳未満の急性リンパ性白血病 (ALL) 1,442例の初発時臨床像 (性/白血球数/表面マーカー/染色体) を発症年齢別に8群に分けて比較検討した.白血球数の全体の中央値は9,900/μlで, 最大は6カ月未満群の100,500/μl, 最小は5~7歳群の8,400/μlで, 各年齢層間で統計的有意差 (p<0.0001) が認められた.男女比は全体では1.42と男児が多く, 1~5カ月と12~17カ月の2群のみ0.55と0.71で有意に女児の比率が高かった (p<0.05).11q23転座およびPh1陽性例の頻度は2.5% (14/541) と1.8% (10/541) で, 前者の半数は6カ月未満群であった.T-ALLの頻度は9.5% (70/735) で, 11歳以上の群で最大 (17%) であった.これらの染色体異常もしくはT細胞マーカーを有する症例の70%が白血球数5万/μl以上であった.上記転座症例を除くB前駆細胞型ALLの白血球数分布においても年齢層間で統計的有意差 (p<0.01) が認められた.このように小児ALLの年齢別臨床像の相違は, 特定の染色体異常や表面マーカーの頻度の差で, ある程度説明できるが, 同時に未知の生物学的要因が臨床像に影響を及ぼしている可能性も示唆された.

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