日本小児血液学会雑誌
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Pearson症候群の臨床像と分子遺伝学的検討
村木 可枝
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1999 年 13 巻 5 号 p. 346-352

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抄録
ミトコンドリアDNA (mtDNA) の欠失を診断根拠とする4人のPearson症候群の患者を臨床的および分子遺伝学的に検討した.本症の主徴である鉄芽球性貧血や膵外分泌不全は必須ではなかった.しかし全例で, 新生児期に汎血球減少と骨髄前駆細胞の空胞化を認め, 貧血が血小板減少, 穎粒球減少に先行した.幼児期まで生存した2例では造血器障害は自然に改善し, それは末梢血および骨髄細胞での欠失mtDNAの比率の低下と関連があると考えられた.また1細胞内のmtDNAの絶対量の核DNA量に対する比率を計測したところ, 回復期の骨髄において, 欠失mtDNAは減少し, 正常mtDNAは増加していることを示した.その2例は, 後に筋力低下, 心伝導障害, 網膜色素変性を発症し, Kearns-Sayre症候群へ移行した.
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