日本小児血液学会雑誌
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小児ITPの予後についての後方視的検討
傳 美和子滝 正志伊藤 浩信池田 香織山田 兼雄
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1999 年 13 巻 5 号 p. 342-345

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抄録
当施設で治療した小児ITP88例について, 急性型と慢性型に分類し, 発症時の臨床所見, 検査成績を後方視的に比較した.さらに, 慢性型の予後についても検討した.発症年齢, 性別, 先行感染の有無, 発症時の症状, 初期治療の内容, 血小板数, PA-IgG値, 抗核抗体またはLEテストの有無については急性型, 慢性型の両群間に有意差は認められなかった.一方, lupus anticoagulant (LA) は慢性型に有意に多く認められ, 予後不良因子の一つと考えられた.慢性型の予後については, その自然寛解率は, 1, 2, 8年後の各時点でそれぞれ9, 40, 60%であった.発症後6年以上経過した患者のうち, 現時点においても寛解が得られていない症例は, 膠原病, 抗リン脂質抗体症候群などの免疫異常を有する疾患との合併例が多くみられた.
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