抄録
小児急性リンパ性白血病の維持療法に6-mercaptopurine (6-MP) は必須の治療薬である.今回われわれは, 6-MP投与量を175mg/m2/日5日間から250mg/m2/日5日間に増量し, その臨床的検討を行った.経口6-MP 175mg/m2/日投与はCCLSG ALL874,911研究で治療した10例, 6-MP 250mg/m2/日投与はCCLSG ALL 941研究で治療した9例である.2群で投与後の白血球数, ヘモグロビン値, 血小板数に差はみられなかった.6-MP 250mg/m2/日投与例にGPT値が有意な上昇がみられたが, 予定治療の遷延傾向は認めなかった.またGPT値の上昇は6-MPの治療を繰り返すごとにピーク値の低下傾向がみられた.6-MP投与量を175 mg/m2/日5日間から250mg/m2/日5日間に増量しても副作用の増強はなく, 耐えうる投与量と考えられた.