抄録
小児領域における同種幹細胞移植後の長期生存者のquality of life (QOL) は必ずしも明らかでないため, 今回, その晩期障害に関するアンケート調査を施行した.二次癌 (6例) は, 移植後早期にはT-リンパ腫や骨髄異形成症候群が, 晩期には脳腫瘍や舌癌などの固形癌が発症していた.移植前処置との関連は明らかでなかったが, 慢性移植片対宿主病 (GVHD) に起因する舌癌がFanconi貧血の1例で報告された.EBウイルス関連リンパ球増殖疾患 (13例) の発症はHLA不一致, ATG使用およびGVHD重症度と関連していた.Perfbrmance status低下 (46例) は, 慢性GVHDおよびその治療合併症が重要な原因であった.閉塞性細気管支炎, 関節拘縮, 免疫抑制剤による脳症などが報告された.評価に用いたKarnofsky scoreは主観的で, 報告された症状と一致しない印象があり, 客観的な要素を含む新しい晩期障害評価スコアの確立が必要であると考えられた.