育種学雑誌
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茎頂培養によるオオマツヨイグサ(Oenothera erythrosepala BORBAS)の増殖
鈴木 正一藤野 廣春山崎 紀仁辰尾 良秋吉崎 正雄
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1990 年 40 巻 3 号 p. 367-370

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抄録
オオマツヨイグサの葉に含まれるOenothein Bは,抗腫瘍活性を有することが知られている.高Oenothein B系統育成の一環として,茎頂培養による大量増殖法について検討した.2年生個体の側芽を滅菌(70%工クノール1分間,1%次亜塩素酸ナトリウム10分間,滅菌水で3回洗浄)し,長さ約0.5mmの茎頂を摘出置床した.MS培地(MURASHIGE and SK00G 1962)に0,O.02,0.2,2.0,4.0mg/lのナフタレン酢酸(NAA)と,6-ベンジルアミノプリン(BA)を添加した25種類の培地を用い,27±1℃明条件下(2500lux)で培養した. 培養20日目には,ほとんどの区においてシュートが形成されたが,NAA濃度の高い区ではカルス化するものも見られた(Table1).新しく形成されたシュートの数と発根に対するNAAとBAの濃度の影響が顕著に認められた.カルス化したNAA高濃度区においても,培養40日目までにはカルス中央部よりシュートが形成された(Fig.1).新しく形成されたシュートの数および葉の形態から,シュートの増殖には0.2mg/lのNAAと。.2mg/lのBAの組み合わせ,あるいは0.2mg/lのNAAと2.0mg/lのBAの組み合わせが適当と考えられる.発根については,シュート基部のカルス化の少ない2.0mg/lNAAのみの区が適当と考えられる. 培養の初期にはゲル化剤(8,0g/l寒天,2.0g/lgelrite,paperbridge)による発根速度,根毛の発生程度などに多少の差が見られるが,活着率に差は認められなかった(Fig.2,3Table2).
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