日本小児血液学会雑誌
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小児再生不良性貧血治療とQOL
骨髄移植と多剤免疫抑制療法の比較検討
浅野 由美金田 由美竹田 洋樹森田 直子小西 倫子大塚 欣敏大槻 史子辻野 吉昭山本 益嗣谷澤 隆邦
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2002 年 16 巻 2 号 p. 62-70

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抄録

当科で多剤免疫抑制療法 (IST), または同種骨髄移植療法 (BMT) を受けた小児再生不良性貧血 (AA) の患者における治療後のQOL (Quality of Life : 生活の質) について, 後方視的に比較検討を行った.対象はi984~1999年までに当科で治療を受けた小児AAI9名 (先天性を除く) で, IsT群は7名, BMT群は13名 (うち1名はISTからの移行例) であった.治療成績では, 有効率はBMT群で85% (11/13例), IST群で86% (6/7例) であり, 両者に有意差は認めなかった.1999年11月に, 患者の保護者に対し, QOLに関するアンケートを行った.治療に対する満足度は両者とも大差なかったが, 日常生活の満足度についてはISTがより高い値を示した.BMT群では慢性移植片対宿主病 (cGVHD) を含めた移植後の晩期障害がQOLの低下に影響していた.将来への不安についてBMT群では結婚, 就職があげられ, IST群では再発があげられた.小児AAでは重症度に加え, QOLも念頭に入れて初期治療を選択することが必要である.

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