日本小児血液学会雑誌
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アデノウイルス7型感染症関連血球貪食症候群の検討
神波 信次中山 京子芳山 恵崎山 美知代青柳 憲幸吉川 徳茂
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2002 年 16 巻 2 号 p. 71-77

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抄録

アデノウイルス7型感染症関連血球貧食症候群について検討した.対象患者は男児2名, 女児3名で, 年齢は1~2歳3カ月であった.全例喘息様気管支炎の経過中に血球貧食症候群 (hemophagocytic lymphohistiocytosis : HLH) を発症した.持続する発熱, 肝腫大, 血球減少, 血清LDHとフェリチン値の上昇のため骨髄穿刺が行われ, HLHの診断が確定された.基礎疾患のある2例に人工換気を要した.また, 意識障害が特徴的で2例に痙攣を合併した.脳脊髄液検査は正常であったが, 全例に脳波で高振幅徐波を認めた.頭部CTは急性期に2例で軽度の脳浮腫を, 回復期に2例で軽度の脳萎縮を認めた.1例に門脈血栓症を合併し重篤化した.免疫抑制を目的に全例にステロイドを使用し, 軽快した.血清サイトカインはsIL-2RとINF-γ, IL-6, IL-18が高値で, 意識障害の背景にサイトカインの関与が考えられた.

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