日本小児血液学会雑誌
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心タンポナーデを来した小児非ホジキンリンパ腫
2例での検討
大野 敦子渋谷 温石井 佐織直田 祐子三浦 信之佐々木 望
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2002 年 16 巻 2 号 p. 84-89

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抄録

心タンポナーデを来した非ホジキンリンパ腫2例を経験し, 臨床像, 治療および予後を検討した.2例とも咳嗽, 呼吸困難を呈し, 胸部レントゲン像で縦隔腫大, 胸水貯留像を認め心肺系疾患を疑わせた.心臓超音波検査では2例とも心嚢液の貯留を認め, その細胞診や心外膜の生検によりT cell type lymphoblastic lymphoma (T-LBL) と診断した.心嚢液は1,000mlを超え心拡大は顕著であった.そのうち1例は心臓超音波検査にて心外膜転移の合併を早期に発見した.Tokyo Children Cancer Study Group (TCCSG) プロトコールで化学療法を行ったが, 1例めは早期に再発したので2例めには縦隔腫瘍床への放射線照射を初期より化学療法と併用した.寛解を得たが, 約8カ月後に心嚢液の再貯留と新たな頸部腫瘤の出現を認めた.心タンポナーデを合併したT-LBLは治療抵抗性を示し, 予後不良であり, 造血幹細胞移植も視野に入れた強力な治療が必要と考えられた.

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