日本小児血液学会雑誌
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小児血液疾患における遺伝カウンセリング
福嶋 義光
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2003 年 17 巻 3 号 p. 104-110

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抄録

遺伝カウンセリングは, 遺伝的問題で悩む人に対して遺伝医学的情報を提供するとともに, 心理的精神的支援を行う医療行為である.小児血液疾患との関連では, 患児をもつ両親を対象に次子のリスクについての対応が求められる場合が多いが, 出生前診断や親の保因者診断など倫理的に解決の難しい問題に直面することもある.遺伝カウンセリングは医師であれば誰でもできるというものではなく, 特別な教育, 訓練が必要である.医師を対象とする研修システムとしては「臨床遺伝専門医制度」がある.倫理的問題の解決は個人的努力だけでは困難な場合が多く, 遺伝カウンセリング体制の構築など組織だった取り組みが必要である.小児血液の専門家は遺伝情報の特殊性を理解し, 必要な場合には臨床遺伝専門医と連携をとって遺伝カウンセリングを行うことが望ましい.

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