抄録
われわれは, 食事性による葉酸欠乏性巨赤芽球貧血を呈した1男児例を経験した.食事中の一栄養素である葉酸の欠乏で貧血をきたすことが知られており, 典型例ではDNA合成の障害により骨髄中に巨赤芽球を認め, 巨赤芽球性貧血をきたす.しかし, 自験例では前医にて葉酸を多く含む食事が開始されており, 骨髄像は典型的ではなかった.葉酸投与前の血清での葉酸低値を認め, 葉酸欠乏性巨赤芽球性貧血と診断された.入院生活においてバランスのとれた食事の摂取と規則正しい生活を送ることにより, 患児の貧血は改善した.