日本小児血液学会雑誌
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CD20低発現B細胞悪性リンパ腫の1男児例
小川 倫史佐伯 敏亮野間 剛
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2003 年 17 巻 6 号 p. 481-486

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抄録
CD20低発現のB細胞悪性リンパ腫の1歳7カ月男児例の臨床像および免疫学的所見を報告する.腫瘍は大型の異型lymphoid cellで, CD79陽性, CD20 (L26), CD3, CD99 (Ol3) 陰性と汎B細胞抗原陽性であったがCD20は陰性であった.3日間の培養腫瘍細胞の表面抗原は, 成熟B細胞の形質を示したが, CD20抗原は低発現であった.抗CD20抗体処理による腫瘍細胞のアポトーシス誘導を認めなかった.初診時の腫瘍の浸潤性と骨破壊像および, 髄注療法中における中枢神経系浸潤の発症は, 腫瘍細胞の病勢と細胞増殖性の強さを反映していると考えられた.帯状疸疹ウイルスの長期持続感染の増悪に伴い骨髄低形成を示し, 患児は播種性血管内血液凝固 (DIC), 肺炎にて死亡した.本症のようなCD20陰性あるいは低発現のB細胞悪性リンパ腫は組織浸潤性や細胞増殖性が強く, 予後不良因子になっている可能性があると考えられた.
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