日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
17 巻 , 6 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 鬼頭 敏幸
    2003 年 17 巻 6 号 p. 449-460
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Asparagine synthetase (AS) は細胞内でasparagineを合成する酵素であり, L-asparaginase (ASNase) の作用に拮抗する反応に関与する酵素である.AS発現の程度とASNase感受性との逆相関の関係を考察した.この酵素活性が低下している腫瘍を検索できれば, 実際にASNaseを使用しての臨床効果が予想されると考え, ヒトASに対するモノクローナル抗体を用いた免疫染色法 (AS免疫染色法) を確立した.この方法によりAS低発現と判定できる症例ではASNase投与が有効である可能性が強く示唆される.この方法を含めて, 急性骨髄性白血病症例の一部, NK細胞関連腫瘍にASNase高感受性例が存在することが明らかになり, これらの疾患に加えて, 悪性黒色腫や多発性骨髄腫に対して, 臨床使用が始められている.
  • 堀越 泰雄
    2003 年 17 巻 6 号 p. 461-472
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児血液疾患の中では慢性特発性血小板減少性紫斑病 (chronic ITP) や遺伝性球状赤血球症 (HS), 自己免疫性溶血性貧血 (AIHA) は, 脾臓摘出術 (脾摘) のよい適応であり, まれに緊急で行われることもある.その他の先天性溶血性疾患や若年性骨髄単球性白血病 (JMML), hypersplenismなどでも行われる場合がある.Wiskott-Aldrich症候群 (WAS) やGaucher病など一部の疾患では, 造血幹細胞移植や遺伝子治療が行われるようになったことから, 脾摘が行われることは少なくなった.脾摘は長期にわたる薬物療法を行うよりもQOLの面ですぐれている.腹腔鏡を用いた手術は, 安全かつ低侵襲に行うことができて児の負担が少ない.脾摘後の感染症には注意が必要であるが, 適応年齢を5歳以上とすることと, 肺炎球菌ワクチンの接種, 抗生物質の予防投与および発熱時の対応で, 敗血症のリスクを減じることができる.今後, 脾摘の適正な適応時期を考えるためにはQOLを含めた再検討が必要で, わが国での対象慢性疾患や脾摘例のregistryを行うべきである.
  • 九鬼 一郎, 野間 治義, 石井 武文, 大杉 夕子, 迫 正廣
    2003 年 17 巻 6 号 p. 473-476
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    May-Hegglin anomaly (MHA) は, 巨大血小板と血小板減少症, 穎粒球封入体を3主徴とし, 最近責任遺伝子が同定され, 類縁疾患を含めMYH9異常症として包括されている.われわれはMYH9異常症の1例を経験した.症例は, 出生時, 器械法で血小板が7,000/μ1と減少.大量γグロブリン療法および血小板輸血にて改善せず, 生後10日, 当院に紹介された.末梢血塗沫標本にて巨大血小板, 骨髄に小型未成熟巨核球を多数認めた.血小板粘着能・凝集能, 出血時間は正常で, 抗血小板抗体は認めなかった.血液検査では, 巨大血小板の存在により目視と器械で血小板数が解離しており, 巨大血小板を伴う遺伝性血小板減少症が疑われた.遺伝子検査によりMYH9遺伝子異常を認め (287;C→T) MYH9異常症と診断され無治療で経過観察されている.出血傾向のない血小板減少例では巨大血小板の存在に留意するとともに, MHAを含む遺伝性血小板減少症を鑑別すべきと思われた.
  • 吉本 寿美, 橋山 元浩, 足立 尚登
    2003 年 17 巻 6 号 p. 477-480
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, マススクリーニング (MS) にて発見され, N-myc遺伝子増幅を認めた神経芽腫の7カ月の男児例を経験したので報告する.MSにて尿中VMAとHVA高値を指摘され, 精査の結果神経芽腫stage1と診断された.腫瘍全摘後, N-myc遺伝子が40倍以上と増幅しており予後不良と予想されたため化学療法を行う予定であったが, 両親の同意が得られなかったため, 無治療にて経過観察することとなった.その後, 退院して4カ月後に右眼球突出, VMA, HVAの高値, 骨髄転移を認め, 再発と診断し化学療法を開始し, 造血幹細胞移植を計画中である.MS陽性例におけるN-myc遺伝子増幅例はまれであるが, これまでの報告例などとあわせて考えると, 造血幹細胞移植のような強力な治療を行う必要があると思われる.
  • 小川 倫史, 佐伯 敏亮, 野間 剛
    2003 年 17 巻 6 号 p. 481-486
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    CD20低発現のB細胞悪性リンパ腫の1歳7カ月男児例の臨床像および免疫学的所見を報告する.腫瘍は大型の異型lymphoid cellで, CD79陽性, CD20 (L26), CD3, CD99 (Ol3) 陰性と汎B細胞抗原陽性であったがCD20は陰性であった.3日間の培養腫瘍細胞の表面抗原は, 成熟B細胞の形質を示したが, CD20抗原は低発現であった.抗CD20抗体処理による腫瘍細胞のアポトーシス誘導を認めなかった.初診時の腫瘍の浸潤性と骨破壊像および, 髄注療法中における中枢神経系浸潤の発症は, 腫瘍細胞の病勢と細胞増殖性の強さを反映していると考えられた.帯状疸疹ウイルスの長期持続感染の増悪に伴い骨髄低形成を示し, 患児は播種性血管内血液凝固 (DIC), 肺炎にて死亡した.本症のようなCD20陰性あるいは低発現のB細胞悪性リンパ腫は組織浸潤性や細胞増殖性が強く, 予後不良因子になっている可能性があると考えられた.
  • 黒見 徹郎, 尾崎 貴視, 難波 正則, 矢口 善保, 今井 正, 伊藤 進
    2003 年 17 巻 6 号 p. 487-491
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    われわれは, 食事性による葉酸欠乏性巨赤芽球貧血を呈した1男児例を経験した.食事中の一栄養素である葉酸の欠乏で貧血をきたすことが知られており, 典型例ではDNA合成の障害により骨髄中に巨赤芽球を認め, 巨赤芽球性貧血をきたす.しかし, 自験例では前医にて葉酸を多く含む食事が開始されており, 骨髄像は典型的ではなかった.葉酸投与前の血清での葉酸低値を認め, 葉酸欠乏性巨赤芽球性貧血と診断された.入院生活においてバランスのとれた食事の摂取と規則正しい生活を送ることにより, 患児の貧血は改善した.
  • 稲井 郁子, 金兼 弘和, 森本 克, 真部 淳, 宮脇 利男, 細谷 亮太
    2003 年 17 巻 6 号 p. 492-496
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    乳児期早期に溶血性貧血および血小板減少にて発症したALPSの男児例を報告する.生後1ヵ月頃より肝脾腫を伴う溶血性貧血および血小板数減少が出現し, ステロイドの投与により軽快したが, 感染を契機に増悪を繰り返した.摘脾により溶血性貧血および血小板数減少は軽快した.8歳の時点で, 患児および母親にFas遺伝子の変異を認め, ALPSと確定診断した.乳児期より肝脾腫, 溶血性貧血および血小板減少などを来した症例についてはALPSを念頭において精査を進めることが重要である.
  • 犬飼 岳史, 杉田 完爾, 宇野 佳奈子, 丹 哲士, 岡田 A美智代, 後藤 美和, 渡辺 美紀, 山川 直子, 手塚 徹, 中澤 眞平
    2003 年 17 巻 6 号 p. 497-501
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性リンパ性白血病 (ALL) と診断される約2週間前から持続する咳漱を認めていた11歳女児.ALLの寛解導入療法後に, 大量の粘液栓状の喀痰排出を伴う反復性の咳瀬嗽発作を認めた.第1回強化療法後に発熱とCRP値の上昇をきたし, 左肺野に菌球様陰影を伴う空洞状陰影を認めた.CTでは左主気管支狭窄像と, 左S3・S6に浸潤像を伴い小気管支像と交通するcentral bronchiectasisと思われる著しい空洞状病変を認めた.抗真菌剤投与で解熱し浸潤像は消失したが咳嗽発作は持続し, ステロイド剤内服によって著明に改善した.血清学的にAspergillusの関与は証明できず, allergic bronchopulmonary aspergillosis (ABPA) の診断基準は満たさなかったが, 臨床像, central bronchiectasisの存在, ステロイドの治療効果, アレルギーの家族歴とHLA-DRB1 subtypeからABPA様の病態の関与が示唆された.
  • 月本 一郎, 岡村 純
    2003 年 17 巻 6 号 p. 502
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
  • 土田 昌宏
    2003 年 17 巻 6 号 p. 503-507
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
  • 堀部 敬三
    2003 年 17 巻 6 号 p. 508-511
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    わが国では, 1970年代から小児白血病リンパ腫の多施設共同治療研究グループが結成され, 治療成績の向上に貢献してきた.しかしながら, 白血病治療研究に関して臨床試験としての認識が薄くガイドライン治療と混同されており, 臨床試験に必要な科学性と倫理性が十分であったとは言い難い.今回, 小児造血器腫瘍に対して根拠に基づいた医療を推進するための研究基盤整備と大規模臨床試験を実施するために新たな研究事業が開始された.これによりグループ間共同研究を質の高い臨床試験にするために必要な具体的な指針の作成と体制整備が図られる.本学会には, 個々の臨床試験のみならず, 研究活動全体を客観的に評価・指導することで, わが国の小児血液学分野において質の高い臨床研究を育成・支援する役割が期待される.
  • 鶴澤 正仁
    2003 年 17 巻 6 号 p. 512-515
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
  • 石井 榮一
    2003 年 17 巻 6 号 p. 516-520
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児造血器腫瘍は, その中身を世界が共有できるためのエビデンスを提供する質の高い治療研究を行う時代に入ってきた.そのうち乳児急性リンパ性白血病 (ALL) に関しては, 1996年にスタートしたMLL96/MLL98studyでMLL再構成陽性乳児ALLの無イベント生存率は改善しつつある.しかし, 各症例の治療内容のフォローもデータの集積も不完全であった.そこで新しい治療研究 (MLL03 study) では, 治療のendpointを明確にした統一プロトコールを作成し, 各症例でのプロトコール遂行を厳密に監視するシステム作りを行った.またその目的のために日本小児白血病・悪性リンパ腫研究会が組織され, 小児血液学会との連携で乳児ALLにおける質の高い治療研究を行うことが可能と考えられる.
  • 駒田 美弘
    2003 年 17 巻 6 号 p. 521-524
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    日本小児血液学会は, 小児血液・腫瘍学分野の臨床研究を評価, 承認し, その遂行を支援する臨床研究審査検討委員会を設置した.本委員会の目的は, 臨床研究の倫理的, 科学的および医学的な妥当性を客観的に審査検討することにより, 対象となる個人の人権および安全の保護と, その臨床研究の質を確保することである.また, 当該臨床研究に関する適切な指摘・助言を研究代表者に還元することにより, 臨床研究の改善, 質の向上や研究者への教育効果も期待される.本委員会が十分に機能することにより, 小児血液・腫瘍学分野の臨床研究の積極的な推進に寄与することを期待したい.
  • 小島 勢二
    2003 年 17 巻 6 号 p. 525
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
  • 中尾 眞二
    2003 年 17 巻 6 号 p. 526-530
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    再生不良性貧血をはじめとする一部の骨髄不全例では, 免疫病態が発症に関与しているが, これを診断するためのよいマーカーは確立されていない.CDIlb (好中球) やグリコフォリンA (赤血球) とのtwo-color flow cytometryにより, CD55陰性CD59陰性 (PNH型) 血球の増加 (PNH+) が証明された骨髄不全例は, PNH血球非増加PNH-例に比べてシクロスポリンに対する反応性やHLA-DRI5抗原保有率が高く, 染色体異常を示す頻度が低い.顆粒球中のクローン性細胞集団 (クロナリティ) の有無をHUMARAアッセイで検索したところ, クロナリティを認める頻度はPNH+例がPNH-例より有意に低かった.のちにRAEBやAMLに移行した例の多くは, PNH-のクロナリティ陽性例の中に含まれていた.したがって, PNH血球やクロナリティを検出することは骨髄不全の病態を診断するうえで有用と考えられる.
  • 小原 明
    2003 年 17 巻 6 号 p. 531-538
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    再生不良性貧血委員会で追跡調査している1988~2000年診断の特発性再生不良性貧血760症例の臨床症状と予後について述べた.年間新規診断症例は45~82例で, 重症例はそのうち53%であった.診断時染色体分析は近年80%以上の症例に実施され, 1994年以降診断の9例 (分析実施症例数336) で診断時染色体異常が報告されている.1994年以降に診断された最重症・重症例の予後 (KM生存率86.7±5.3, 87.5±3.8%) はそれ以前の症例に比べて改善したが, 中等症・軽症症例の予後改善は明らかではなかった.軽症例では診断5年以降の死亡が改善すべき問題点である.HLA一致兄弟間骨髄移植の予後は良好であり, 1994年以降では非血縁者間骨髄移植も診断後2年以内に行われた症例の予後は良好であった (KM生存率86.4±6.3%).1994年以降骨髄異形成症侯群 (MDS) 白血病移行症例は減少しているが, 毎年1例ほどの報告がある.全例登録と追跡を今後も行い, 稀少疾患研究の共通プラットホームとして臨床治療研究への協力や, 学会会員・患者・家族への情報提供などの分野において活発に活動すべきであろう.
  • 小島 勢二
    2003 年 17 巻 6 号 p. 539-543
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    過去10年, HLA適合血縁ドナーが得られない再生不良性貧血 (再不貧) の小児に対しては, 抗胸腺細胞グロブリン (ATG), シクロスポリン (CyA), ±顆粒細胞コロニー刺激因子 (G-CSF) による治療が選択されてきた.免疫抑制療法によって50-70%の再不貧患者に完全あるいは部分寛解が得られるものの, 長期生存例には, 骨髄異形成症候群 (MDS) や急性骨髄性白血病 (AML) への移行や再発の頻度が高いなど問題点も少なくない.最近発表されたいくつかのグループからの報告でも, 累積再発率は30~40%, MDS/AMLの移行率も5-15%に達している.同種骨髄移植は, 再不貧患者におけるもう一つの治療選択である.生着不全や急性移植片対宿主病 (GVHD) は同種骨髄移植の成功を阻む最大の要因であり, 最適な前治療法や急性GVHDの予防法を開発するためには, 前方視的な多施設共同研究が必要であろう.
  • 麦島 秀雄, 小原 明, 大賀 正一, 小島 勢二, 藤沢 康司, 月本 一郎
    2003 年 17 巻 6 号 p. 544-553
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    1988~1998年に日本小児血液学会に登録されたDiamond-Blackfan貧血 (DBA) 症例の疫学と治療反応性を検討した.登録数は54 (男 : 女=26 : 28), 発生率は年間100万出生当たり4.02であった.診断年齢は中央値60生日で, 59%は3生月以内に発症していた.家族内発症は3人であった.男児 (36%) は女児 (17%) より奇形が多い傾向にあった.全例にプレドニゾロン (PSL) が投与され, 17人にシクロスポリン (CsA) が併用された.47人が輸血を, 13人が造血幹細胞移植 (HSCT) を受けた.HSCTまでの薬物治療非依存率と輸血非依存率は, 診断5年後で各々36%と69%であった.13人はHSCTを受けず無治療となった.CsA併用の治療離脱に対する効果は明らかではなかった.無治療となった13人の輸血と薬物療法からの離脱は, 診断後各々249日と933日であった.初診時の所見から治療依存性の予測因子を見出せなかった.20%以上の患者にヘモジデローシスおよび何らかのPSLの副作用がみられた.HSCT例の診断時年齢と網赤血球数は非HSCT例より低かった.HSCTの成績は, HLA一致同胞以外の移植源が半数以上であったものの, 過去の報告のうちもっとも高い成功率 (85%) であった.2例の非血縁臍帯血移植が不成功であった.重症例に対するHSCTを含めたDBAの包括的な長期治療戦略の確立が必要である.
  • 矢部 みはる, 矢ヶ崎 博, 迫 正廣, 秋山 祐一
    2003 年 17 巻 6 号 p. 554-556
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    日本におけるFanconi貧血の疫学と臨床的特徴を明らかにするために, 日本小児血液学会の所属する施設にアンケート調査を行った.1990年4月-1999年3月までに登録された小児再生不良性貧血752例中55例がFanconi貧血として登録された.このうち, 今回36例の二次調査票が回収された.症例は男児28例, 女児27例で, 年齢は0~14歳に分布し, Fanconi貧血の家族歴を有している者は13例であった.2例に固形腫瘍が発症し, 骨髄異形成症候群 (MDS) への移行は7例にみられた.25例で造血幹細胞移植が行われ, 診断後8年までの期間に16例が死亡し, とくにMDS症例では予後不良であった.二次調査では, 主要臓器6項目中3項目以上の臓器奇形を合併した重症例は6例と欧州諸国に比べ少なかった.染色体断裂試験が施行されたのは23例にすぎず, 遺伝子検索が判明した症例は7例のみであった.
  • 工藤 寿子, 小島 勢二
    2003 年 17 巻 6 号 p. 557-561
    発行日: 2003/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    1988年4月~2000年3月までに日本小児血液学会の再生不良性貧血委員会に登録された肝炎後再生不良性貧血 (HAA) 85例について解析を行った.初回治療として骨髄移植 (BMT) を施行されたのが23例, 免疫抑制療法 (IST) を施行された症例は60例であった.IST無効例16例中12例に救済療法としてBMTが施行された.ドナーソースをみると, 初回治療でBMTを施行された23例のうち17例は兄弟から移植を受けていた.救済療法では12例中6例が非血縁ドナーであった.先行する肝炎の原因ウイルスを検索したが, 大半の症例では肝炎の原因ウイルスは同定できなかった.小児HAA 48例および特発性再生不良性貧血 (IAA) 156例のHLA-DRの解析をしたところ, 健康人対照群に比してDR9が有意に高発現であった (54.2%versus 27.8%;RR=3.07) が, 一方, IAAでは有意差は認められなかった.HAAの非移植例での生存率を比較すると, 1994年以前と1994年以降の生存率はそれぞれ70.8±9.3%, 91.9±4.5%であり, 同時期に発症したIAA非移植例の生存率と差を認めなかった.HAAとIAAに対するISTの有効率は有意差はないと考えられた.Alternative donorからの造血幹細胞移植や最重症例に対する感染症対策の治療や予防法の確立, 原因となる肝炎ウイルスの同定などが今後の検討課題と考えられる.
feedback
Top