日本小児血液学会雑誌
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小児再生不良性貧血の治療の現況
小島 勢二
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2003 年 17 巻 6 号 p. 539-543

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抄録
過去10年, HLA適合血縁ドナーが得られない再生不良性貧血 (再不貧) の小児に対しては, 抗胸腺細胞グロブリン (ATG), シクロスポリン (CyA), ±顆粒細胞コロニー刺激因子 (G-CSF) による治療が選択されてきた.免疫抑制療法によって50-70%の再不貧患者に完全あるいは部分寛解が得られるものの, 長期生存例には, 骨髄異形成症候群 (MDS) や急性骨髄性白血病 (AML) への移行や再発の頻度が高いなど問題点も少なくない.最近発表されたいくつかのグループからの報告でも, 累積再発率は30~40%, MDS/AMLの移行率も5-15%に達している.同種骨髄移植は, 再不貧患者におけるもう一つの治療選択である.生着不全や急性移植片対宿主病 (GVHD) は同種骨髄移植の成功を阻む最大の要因であり, 最適な前治療法や急性GVHDの予防法を開発するためには, 前方視的な多施設共同研究が必要であろう.
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