日本小児血液学会雑誌
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TEL-AML1融合遺伝子が検出されたt (3;12) (q12;p12) を有する急性リンパ性白血病の1例
川村 眞智子賀来 秀文竹谷 健滝 智彦林 泰秀
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2005 年 19 巻 4 号 p. 236-239

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抄録

B前駆細胞型急性リンパ性白血病 (ALL) の3歳女児を報告する.診断時の染色体分析で46, XX, t (3;12) (q12;pl2), -18, +mar/47, idem, +8であったが, TEL遺伝子を用いたcDNA panhandle polymerase chain reaction法による相手遺伝子検索で, t (12;21) (pl3;q22) でみられるTEL-AML1融合遺伝子産物が確認された. TELの相手遺伝子は染色体分析から予想された3ql2上の遺伝子ではなく21q22のAML1遺伝子であった.本例は5年半無病生存中である.TEL-AML1融合遺伝子は小児ALLでもっとも高頻度にみられるが, t (12;21) (p13; q22) は染色体末端の微細領域の相互転座で, 通常の染色体分析レベルで同定は困難である.正常核型や12p12-13に切断点のある染色体異常の中にTEL-AML1融合遺伝子がある場合があり, 遺伝子解析が必要である.

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