日本小児血液学会雑誌
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北部九州血友病センターで経験したインヒビター陽性血友病患者15例の検討
酒井 道生佐藤 哲司宮地 良介白幡 聡
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2005 年 19 巻 6 号 p. 578-585

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抄録
血友病治療での重大な問題として, 凝固因子製剤の補充療法開始後に一部の患者にインヒビターが発生する.これまで, インヒビターの発生機序にっいては多くの報告があるが, インヒビター保有患者の臨床経過にっいて検討した報告は少ない.そこでわれわれは, 1984~2004年の20年間に北部九州血友病センターを受診した血友病患者209例のうち, 1回以上の検査でインヒビターが陽性であった15例 (7.2%) を対象として, 臨床経過を後方視的に解析した.インヒビター初回検出時の年齢は生後3カ月-62歳で中央値2歳であった.観察期間中のインヒビター最高値は2-1,000 BU/mlであり, 4例のローレスポンダーのうち3例と11例のハイレスポンダーのうち2例の計5例でインヒビターが消失した.免疫寛容療法が3例に施行され, 免疫寛容療法中にインヒビターが消失した症例はなかったが, 2例で免疫寛容療法を中止した数年後にFVIII製剤での良好な止血管理が可能となった.
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