日本小児血液学会雑誌
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寛解導入療法中にposterior reversible encephalopathy syndrome を発症した小児急性リンパ性白血病の2例
榊原 崇文稲垣 二郎岸本 朋子朴 永東吉岡 章
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2005 年 19 巻 6 号 p. 598-602

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抄録

症例は9歳の女児と6歳の男児.急性リンパ性白血病 (ALL) と診断し, 寛解導入療法を開始したところ, 治療開始31日目と20日目にそれぞれ痙攣発作を発症した.頭部MRIでT2強調画像およびfluid.attenuated inversion recovery (FLAIR) 画像で両側後頭葉から頭頂葉領域を中心に異常高信号を認めた.対症療法により神経症状および画像所見の改善を認めたことからposterior reversible encephalopathy syndrome (PRES) と診断した.自験例ではいずれも神経症状の出現前に高血圧と急性膵炎を呈しており, 寛解導入化学療法とともにPRES発症の契機となったと考えられた.2症例とも降圧薬と抗痙攣薬投与により以降の化学療法を継続できた.PRESは成人のみならず小児においても, 化学療法中に起こりうる合併症であり, とくに化学療法中に高血圧を呈する症例では注意が必要である.

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